アートに出会う ART
津奈木町では水俣病の被害によって傷ついた住民の心を癒すため、1984年に町が掲げたのが文化芸術による地域再生のプロジェクト「緑と彫刻のある町づくり」です。
駅や橋の欄干、プロムナードをはじめ16体の屋外彫刻を設置、2001年には芸術文化活動の拠点としてつなぎ美術館が開館しました。
津奈木町は、幅広いジャンルの企画展を開催するつなぎ美術館、森の中や海の上、道路や小学校など様々な屋外アート作品にも出会うことができるアートの町です。
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つなぎ美術館
TSUNAGI ART MUSEUM水俣・葦北地域における芸術文化活動の拠点として2001年4月に開館した津奈木町立の美術館。第2次海老原美術研究所の所長を務めた境野一之をはじめとする熊本県ゆかりの作家による作品やタイ山岳民族の衣装などを収蔵(約500点)。2008年からアーティストと住民が一緒になって制作活動を行う「住民参画型アートプロジェクト」や、2014年からはアーティストが実際に町に住みながら制作活動を行う「アーティスト・イン・レジデンスつなぎ」など特徴的なアートプロジェクトを展開しています。絵画をはじめ、彫刻、現代アートなど幅広いジャンルの企画展を開催するほか、屋外にも多くの作品を展示しています。
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《入魂の宿》
NYUKON House旧赤崎小学校のプールを宿泊施設として再生するアート作品《入魂の宿》。現代社会がはらむ諸問題にユーモアを交えながらも正面から向き合う作品を作り続けるアーティストとして、世界中で高く評価される現代美術家 柳幸典の作品です。熊本ゆかりの文筆家 石牟礼道子の文学から着想を得て制作されました。 プールサイドには、土地に自生するツワブキなどをはじめ、ハーブやミントなど数多くの植物に囲まれ、水の入ったプール中央部へスロープを下ると植物や生物など自然との重なりを体感できます。異様にも見える巨大な角筒状の「入魂セル」は、純粋な海と空だけが切り取られた景色を部屋内部から観ることができ、石牟礼道子の詩「入魂」を体感できる仕組みになっています。今後は、年数回程度(各数週間)の宿泊体験も予定されています。 詳しくは「つなぎ美術館ホームページ」をご覧ください。
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《達仏》
Tatzubutzu憩いの場として整備された森の中、生木に鎮座する33体の仏像。過去の記憶を源泉に活力ある未来を願う祈りのまなざしが、訪れる人々を霊気漂う不可思議な世界へといざないます。世界的に活躍する現代アーティスト西野達の作品で、同氏の作品は期間限定の作品が多い中、パブリックコレクションによる常設展示としては日本で唯一、世界でもフランスに次いで2か所目となります。
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《石霊の森》
Ishidama Garden鮮やかなイチョウが立ち並び、木々の間を埋めるように置かれた石の割れ目からは水俣出身の作家 石牟礼道子の詩の朗読などが聞こえてきます。現代美術家 柳幸典氏による常設作品です。
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《海渡り》
UMIWATARI2018年からスタートしたアーティスト五十嵐靖晃による「つなぎまちのつなぎかた」。津奈木の人々が育んできた歴史や文化をアート通じて住民とともに学び再構築し地域に活力を取り戻すことを目指すアートプロジェクトです。 《海渡り》は赤崎地区にある弁天島を舞台に、島へ渡った人々の軌跡と弁天様が地域を見守る視線とが無数の糸によって可視化される作品。明治時代には執り行われていたとされる「弁天様のまつり」(旧暦9月26日)を地域行事として再興し、未来へと繋いでいく新しいアートのかたちです。毎年秋に開催されます。
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彫刻群
SCULPTURE GROUP1984年から文化芸術による地域再生のプロジェクトとして取り組む「緑と彫刻のある町づくり」。役場の庁舎移転に伴い新庁舎へ「若い女」が設置されると岩野勇三や佐藤忠良など日本を代表する彫刻家の作品16体が、町内の要所(駅前、橋の欄干、温泉など)に設置されています。彫刻マップを基にアート散策がおすすめです。